2月に入り、暦の上では春ですが、まだまだ、朝晩の冷え込みが続いています。寒い時にはカイロやゆたんぽなどを使うことがありますが、場合によっては「低温やけど」を引き起こしてしまうことがあるので、注意が必要です。

低温やけどとは

カイロやゆたんぽ、電気あんか、こたつなど、体温より少し高めの温度(40℃~50℃)のものに長時間触れ続けることにより、皮膚に生じるやけどを「低温やけど」といいます。自覚症状が現れにくく、気づかないうちに皮膚の深部まで損傷していることがあります。そのため、熱湯などの高温のものに短時間触れて生じるやけどよりも、低温やけどの方が重症化しやすいとされています。

やけどの分類

やけどは、皮膚の損傷の程度によってⅠ度、Ⅱ度、Ⅲ度に分類されます。低温やけどはほとんどが、Ⅲ度である場合が多いとされています。

  • Ⅰ度…表皮のみのやけどです。皮膚がヒリヒリと痛くなったり、赤くなったりしますが、数日のうちに治ります。傷あとも残りません。
  • Ⅱ度…表皮だけでなく、真皮までおよんだやけどで、水疱ができます。痛みも伴いますが、深いところまで損傷がおよぶにつれて、痛みが減少します。Ⅱ度のやけどでも、浅いものは傷あとが残らず、深いものになるほど傷あとが残ることが多く、治るまでに1~4週間ほどかかります。
  • Ⅲ度…表皮、真皮だけでなく脂肪や筋肉といった皮下組織までおよんだやけどです。神経や血管まで損傷しており、痛みがないのが特徴です。皮膚は乾燥しており、血の気がなく白くなる場合があります。治るまでに長期間かかり、傷あとが残ります。

こんな人が低温やけどを起こしやすい

自分で体を動かすことができない人や、上手く暖房器具の調節をできない人は、低温やけどを起こしやすいといえます。また、神経の疾患により感覚が鈍い人は、低温やけどを起こしても気づかないことがあります。特に、以下のような人は注意が必要です。

  • 皮膚が薄い幼児や高齢者
  • 寝返りができない乳児
  • 糖尿病などで手足の循環が悪い方
  • 知覚や運動能力に麻痺がある方
  • 薬の内服により熟睡している方
  • 泥酔している方
  • 体の感覚が鈍くなっている方   など

低温やけどを予防するために、ゆたんぽは寝る前に布団から出す、電気製品は電源を切るなど、熱を持ったものが長時間同じ部位に当たらないよう、気をつけましょう。

やけどをしてしまったら

やけどをしてしまったら、直ちに流水で冷やすことが大切です。冷やすことで、やけどが深くなるのを防ぎ、痛みを和らげることができます。水疱ができている場合には、できるだけ破らないようにしましょう。衣服を脱がせると、その時に水疱が破れてしまうことがあるので、衣服を着たまま流水で冷やすのが良いです。

低温やけどの場合、気が付いた時には皮膚の深い部分まで損傷していることがあります。放置すると、重症化してしまいます。早めに医療機関を受診しましょう。